指揮者の小澤征爾さんが、米国で優れた芸術家に贈られるケネディー賞を、
日本人として初めて受賞して、ホワイトハウスにオバマ大統領夫妻に招かれました。
闘病でしばらく音楽活動をお休みしたり、減らしたりしていらっしゃいましたが、
これを励みに、またパワフルな指揮や、後進の指導に頑張って頂きたいと、心から嬉しく思いました。

指揮者台に小澤さんが立った演奏を、ベルリンフィルハーモニーと、
当時専任指揮者だったウィーン国立歌劇場で聞いた経験があります。
ベルリンフィルのコンサートハウスはワイナリー形式という形をしていて、オーケストラの裏側、
つまり通常は背中しか見えない指揮者と向かい合うエリアにも座席があるのですが
(音は悪いのでチケット代はリーズナブルです)、敢えてその場所を予約して、
小澤さんの指揮をじっくり見たことがあります。1曲目がチャイコフスキーの“悲愴”だったかと思うのですが、
アインザッツ(出だし)のアクションが、指揮棒をふっているというより、盆踊りを踊っている様なアクションだったので、
正直かなり驚きました。ウィーンではプッチーニのオペラ、トスカを観劇しましたが、
当然柔らかな音色のウィーンフィルの素晴らしさがあってこそですが、人生で生で聴いた中で最高のトスカの演奏の1つでした。

Seiji_Ozawa

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小澤さんは、たしか野球か何かで指を怪我をして、半ば仕方なく演奏者から指揮者に転向されたと聞いたことがあります。
そんな、天の配材のような偶然(いえ、事故?)もあるのか、と感慨深く思います。
もう一人、やはりチェロ奏者から指揮者に転向した、世界的な指揮者、ニコラウス・アーノンクール氏が引退を表明しました。
86歳、とても残念ですが、これまでの音楽界への貢献に感謝して、ゆっくり休まれて下さい、と言うしかありません。

アーノンクール氏は幅広いジャンルの演奏の録音を残していますが、その中でも何といっても素晴らしかったのは、
自ら結成したウィーン・コンツェントゥス・ムジクスによる、バロック作曲家、
モンテヴェルディ—のオペラとミサ曲の録音ではないでしょうか。モンテヴェルディは、
現存する最古のオペラ「オルフェオ」の作者で、現在と当時では、楽器も楽譜の書き方も異なります。

演奏しようとすれば、例えて言えば、時にはメロディーラインとギターのコードくらいしか残っていない楽譜を、
オーケストラ用に再現しなければなりません。それをアーノンクール氏達はやり遂げて、宝石の様な素晴らしい演奏を残しました。
特に、「聖母マリアの夕べの祈り」は、その曲を聴いて音楽家になることを決意した、という著名な音楽家を2人は知っています。
大きなものを残してくれた大指揮者でした。いっぱいの宝物をありがとうございました。