近頃、「柿のせっけん」、「柿渋のボディーソープ」といった商品をよく見かけませんか?これは未熟の渋柿の汁を発酵させた柿渋を利用することで、消臭、殺菌効果をうたった商品です。柿渋の中の柿タンニンには、消臭だけではなく、防水、防腐、防虫効果があり、日本では昔から、防虫効果のある塗料として利用されてきました。時代劇で、浪人が傘貼りの内職をしているシーンを見たことはありませんか?あそこで和傘に塗られているのも、防水効果のある柿渋です。
そんな柿タンニンに隠されていた、これまで知られていなかった効果に注目した大学があり、研究の成果が、飲食、医療業界にとても役立つものとして製品化されています。

Kaki

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それは、ノロウイルス対策の殺菌剤です。ノロウイルスといえば、秋から春先にかけて猛威をふるい、食中毒や集団感染でしばしばニュースにもなる、強力なウイルスです。ノロウイルスは、インフルエンザウイルスなどとは異なり、周囲を殻で覆われていないウイルスですが、実はこのタイプのウイルスの方が殺菌、滅菌をしにくいのです。また、ノロウイルスに対しては、感染後に病気を治す治療薬も存在しません。そして、ノロウイルスに効果があるとされてきた消毒剤は、人体にも悪影響を及ぼすものばかりでしたので、食べ物を扱う現場での消毒作業は大変でした。
ところが、日本のある企業に研究を相談された広島大学が、短期間で柿タンニンがノロウイルスの不活性化に有効であることをつきとめたのです。それには、“木の治療の為に切った枝には、消毒の為に柿渋を塗る”という、昔からの知恵もヒントになったといいます。柿タンニンを主成分とした、抗ノロウイルスの消毒液は、既に食料、医療などの業界で有効に利用されているといいます。
柿渋は、近代化に伴って、伝統工芸の塗料などに使用が限定されるなど需要が減っていましたが、成分や効能の解明によって、再び様々な用途で使用され始めたわけです。昔の人々の知恵に感心しつつ、更に柿渋の力が解明されていくことを願います。